クリエイターエコノミーとの向き合い方とその展望

デジタル・イノベーション・ラボ 高木 翔平
米国をはじめとしてグローバルで存在感を増す「クリエイターエコノミー」。日本にも訪れているこの潮流に対し、企業はどのように向き合うべきであろうか。海外の動向や台頭する関連スタートアップとその類型を俯瞰することで、日本企業の戦略オプションを考察し、産業の未来を展望する。

海外のクリエイターエコノミーをめぐる状況

 本稿前編で、クリエイターエコノミーの定義や変遷について総括した。海外の状況を一口で言えば、クリエイターエコノミー関連の多様なスタートアップが次々と現れ、そこに対する投資が非常に活発であり、大企業の働きかけも勢いを強めている。ここで、昨年(2021 年)の主な関連ニュースを振り返ってみたい。


 年頭はTwitter に追加された新サービスが話題となった。Twitter 社はオランダ発のニュースレター配信サービス「Revue」を買収し、Twitter 上で利用できるようにした。さらに、同社はクリエイターのための収益化支援ツールとして、限定投稿にアクセスできる有料サブスクリプション「Super Follows」を9月から提供している。


 無論、他のメガプラットフォーマーも黙ってはいない。Facebook やInstagram などのサービスを展開するMeta Platforms(旧Facebook)は2022 年末までに自社SNS 上で活躍するクリエイター達に総額10 億ドル(約1,100 億円)超の報酬を配分すると発表した。一方、Apple はクリエイターに焦点を当て、映像編集・音楽制作向けソフトの刷新を発表した。また、Googleは日本国内の個人間送金に強みを持つ決済アプリ「pring」を買収し、日本の送金・決済サービス分野へ本格参入を決めた。さらに、Microsoft の傘下にあるLinkedIn は短期の人材募集をサポートするフリーランス支援サービス「Service Marketplace」の提供を2月から開始している。(図1)


 以上、海外の潮流の一部に過ぎないがTech Giants(Google、Apple、Meta Platforms、Amazon、Microsoft)の動向をなぞるだけでもクリエイターエコノミーに対する熱気を感じることができるであろう。不要な補足であろうが、列挙した動向もまたTech Giants の取り組みの一部でしかない。


 このように海外ではクリエイターエコノミーに関連したサービスが活発であり……

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