Beyond 5G/6G時代に通信キャリアのビジネス機会を予測

執行役員 山際 龍太
すでに社会インフラとしてなくてはならない存在である移動体通信システムは、現行の5Gから、さらに先のBeyond 5G、そして6Gへと技術的に開発が進む。一方で、通信キャリアやモバイルサービスを提供する事業者は、次世代の通信規格がもたらす変革を想定して、次の勝機をつかむ必要がある。国内の通信キャリアを中心に、次世代の無線通信がもたらすビジネス機会とその対応方法を探る。

盛り上がりに欠ける5G

 第 5 世代移動通信システム(5G)が国内で商用サービスを始めたのは 2020 年 3 月。すでに 3 年以上の年月が過ぎた。5G は、「高速・大容量」「超低遅延」「同時多数接続」といった特徴があり、無線通信のあり方を大きく変えるものと期待されてきた。これまでの 4G までと異なり、IoT(モノのインターネット)デバイスなどの機器が通信するための無線インフラへのシフトも想定された。


 現在、コンシューマ向けのスマートフォン新製品は軒並み 5G 対応になり、2023 年 3 月の国内の 5G 人口カバー率は 96.6%と非常に高い。しかし、5G に実際に接続している時間の割合を示す捕捉率を見ると、わずか 7%にとどまる。国内の 5G インフラは、利用実態に適した形で整備されているとは言い難い。


 補足率が上がらない理由としては、政府による料金値下げの圧力に伴う投資抑制、5G で使われる周波数の他の通信との干渉問題、通信経路の安定化と高速化を図る Massive MIMO(マッシブマイモ)の採用が低調で基地局性能が低いことなどが挙げられる。

目論見が外れたローカル5G

 5G では、コンシューマ向けだけでなく、企業や自治体などのプライベート利用にも期待が集まっていた。ローカル 5G と呼ぶ利用法である。通信キャリア以外が主体となり、産業ユースケースが発掘され、インフラ整備が進むという想定であった。


 しかし……

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