DXの屋台骨:クラウド活用の落とし穴とCCoEによる成功の舵取り
チーフエキスパート
高内 洋平
DX推進において重要な屋台骨となるのが、クラウドサービスの活用である。 XaaSの形で提供される多様なサービスやAWS/Microsoft Azure/Google Cloudなどのパブリッククラウドを効果的に活用するには、従来とは異なる視点やスキルが求められる。 そこで提唱したいのが、クラウド活用の専門組織「CCoE」の設置と活用である。
予期せぬ膨大な費用との直面
製造業のA社は、DX(デジタルトランスフォー メーション)を加速させるため、クラウドリフトプロジェクトを開始した。オンプレミス環境で稼働する従来の業務システムをクラウド環境へ移行したいというものだ。
オンプレミスでは、ハードウエアの購入やメンテナンスなどにコストや負荷が伴う。クラウドへの移行によりこれらが不要となるだろうと、コスト削減を期待していた。しかし、実際には、コストは減るどころか、想定したシステムコストの500%に相当する費用が発生している状況が明らかになった。
なぜ、このような状況に陥ったのか。
筆者が調査してみると、データストレージに原因があることが判明した。オンプレミスの時は、データを大規模なNAS(Network Attached Storage)に集約し、専用のバックアップソフトを使用して磁器テープストレージへ保存する設計であった。一方、クラウドでは適切な粒度と頻度でスナップショットを取得する機能を利用していた。しかし、取得したスナップショットを削除せずに放置していたため、想定外の高額な請求が発生したのだ。(図1)
さらに、……
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