サーキュラーエコノミー社会で 先行者利益を獲得する企業針路とは

エグゼクティブパートナー 平山 真史
SDGs、DX(デジタルトランスフォーメーション)とその浸透、カーボンニュートラル。その次のビジネステーマとしてクローズアップされている「サーキュラーエコノミー」。日本企業にはまだ半信半疑といったところかも知れないが、数年以内に企業価値の主軸となるだろう。サーキュラーエコノミー社会の到来が予想される今、先行者利益を享受する可能性とその企業針路を探っていく。

正しく向き合うほどユートピア化されるサーキュラーエコノミー

 「 サーキュラーエコノミー? リサイクルには取り組んでいますよ。当社のリサイクル率は業界トップクラスですから」
 日本企業からこのような声を聞いて愕然としたことがあった。欧米を中心に進展しつつある「Circular Economy(サーキュラーエコノミー)」。日本では、真の意味を理解し確信をもって取り組んでいる企業はいまだに少数だ。


 まずは、国・政府が定義するサーキュラーエコノミーを確認したい。


 「これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済・社会様式から、競争条件への影響も踏まえ、資源・製品の価値の最大化を図り、資源投入量・消費量を抑えつつ、廃棄物の発生の最小化につながる経済活動全体の在り方」(令和 5 年版「環境・循環型社会・生物多様性白書」環境省)。循環型経済という名前の通り、廃棄物を削減するリサイクルなどにとどまらず、 経済活動全体でストックを有効活用しながら、より付加価値を生み出すシステムへの転換が強調されている。


 遠い未来ではなくなった SDGs、急速な浸透を見せる DX のコモディティ化、カーボンニュートラルの台頭。その次に到来する経営テーマの大潮流――そんな文脈でクローズアップされているのがサーキュラー エコノミーだ。そのことに異論を挟むつもりはない。 しかし実態はどうだろうか。定義としての輪郭は見えるものの、企業経営の現場ではその言葉だけが先行し、 実を伴っていない感が否めない。


 冒頭の「サーキュラーエコノミー=リサイクル」という誤解や、「経済合理性が伴わない」「一番乗りする 旨味がない」「自社だけで取り組んでも何も変わらな い」といった声が聞こえてくる。サーキュラーエコノミーの現状について誤解を恐れず言えば、「正しく向き合おうとすればするほど、空想的な理想像(ユート ピア)ばかりが浮かんでくる」というところだろうか。


  今後サーキュラーエコノミーは……

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